サステナビリティ貢献製品

当社グループは「人と社会と共生し、快適で豊かな生活空間」を創造し続けることで人々を笑顔にし、世界のお客様に信頼と感動を伝え、豊かな社会づくりに貢献します。

商品を通じた社会価値の創出にむけて

大変革期を迎えた自動車業界は、環境・安全・経済などさまざまな側面で変化が進んでいます。「環境面」では、温室効果ガスであるCO2の排出削減を目的とした技術開発や材料開発が進み、SDGsの取り組みが進められています。「安全面」では、車両や道路状況にかかわる情報をセンサで取得することで事故を未然に防止する安全運転サポート技術が目まぐるしく進化しています。そして「経済面」では、移動時に取得したデータをネットワークを介して収集・蓄積・分析することで、新たな価値やサービスとして提供するビジネスモデルの検討が進んでいます。
このような大変革期の中、将来は車室内での過ごし方が変化していくと考えられ、自動車による移動は単なる手段ではなくなり、求められる「提供価値」や「魅力」は変化していくと考えられます。そのため、当社グループは「人にとって好ましい空間」を提供し続けることで、変化する社会の期待に応えていきたいと考えており、以下の領域の技術開発を強化しています。

CASE=コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化といった外的要因の変化に対して、当社では「期待に応える」「さりげなく応える」「自由な車室内空間」「社会に貢献」の4領域をを技術開発領域と定め、空間プロデューサーとして、「車室内空間での体験価値を高める」ことを目指します。
車室内空間における体験価値に対して、移動、空間、居住、未来のそれぞれの視点からの体験価値を創造し、提供することを目指します。

社会価値を創出する商品事例の紹介

軽量化に貢献する「TTKシリーズ」

当社では、カーボンニュートラルへの取り組みとしてシートの軽量化と、CO2排出の少ない工法採用に取り組んでいます。当社が開発したシートフレーム「TTK2.0改フレーム」は、製品の安全性や機能性を維持・向上させつつ、新開発のマニュアルスライドレールを採用し、部品点数を30%、製品重量の15%軽量化を実現しました。また当社としては初採用となるレーザー溶接締結を採用し、加工費削減とCO2排出削減を実現させています。
本製品は、日本、タイで2021年以降の量産車種へ採用されています。
2023年以降の量産車種には、さらなる薄板化やレーザー溶接締結を適用拡大させたTTKシリーズを投入することで、業界最軽量の質量レベルを維持させ、カーボンニュートラルに貢献していきます。

開発者の声

製品開発部製品設計課 課長吉澤 尚之

TTK2.0改は、バックフレームにCO2排出の少なくなるレーザー溶接を、クッションフレームにCO2排出の少ない新たな締結工法を採用した、新しいタチエス提案骨格(TTK)です。
開発段階では、安全性能と車の商品性を両立する仕様を完成させること、そしてレーザー溶接の品質を安定させることに苦労しました。これまでとは異なる要求に対し、開発部門、生産部門のプロフェッショナルがワンチームで活動を進め、性能・商品性・生産性をクリアすることができました。皆の力の集結したフレームになっていると思います。また、本開発の重要な時期に新型コロナウィルスの流行がありました。
そのような状況でも、チーム一丸となり前向きに活動できたことが、本開発を成功できた要因と思っております。
本フレームは、新たな工法を採用したFRMです。これをベースに、より進化したシートを開発していきます。

次世代自動車向け“CASE”コンセプト「移動マイ ルーム」

当社は空間プロデューサーとして、クルマでの体験価値・シートを中心とした車室内空間の新たな価値創出を 試みています。その一つに、CASE対応コンセプト「移動マイ ルーム」があります。このコンセプトを一言で表すと「1+α」です。『1』は現状や日常を表し、日常に+αをする・ライフスタイルに合わせて+αをする。シートを中心とした車室内空間で、この“+α”をお客様に提供する・お客様と共に創り出すという考えです。

オーナー用 移動マイルーム

デスクワークが中心の空間 仕事、勉強、時には息抜き…
集中して作業をしたい時に

マイルーム+α

親しい友人との会合 / 旅行の移動手段 兼 部屋 として

家族用 移動リビングルーム

周りを気にせず 子供と過ごせるセカンドリビングルームとして

オーナー用 アトリエ

趣味に没頭できる自分仕様の空間

開発者の声

先進開発技術企画部開発企画・デザイン課安田 康平

自動車シートのあり方を見直しつつ、CASE時代における様々なライフスタイルに対応できるような車室内空間を目指して検討を進めていきました。従来の車内空間を連想させるような要素をもったモノを可能な限り廃することで、車室内に自分の部屋が1室増えたような、新たな価値が提案できたと思います。今後もユーザーに寄り添った、魅力ある空間の提案を継続して開発・検討をしていきたいと思います。

デザイン自由度、環境に貢献する「Glue Anchor®」

当社では、デザイン自由度の向上と地球環境に貢献できる技術「Glue Anchor®」の量産化に成功しました。このGlue Anchor®はウレタンフォームに直接トリムカバーの縫い線を接着剤にて締結させる技術です。
従来の技術では製造上の制約により複雑な縫い線をウレタンフォームに締結させ凹凸の表現をすることはできませんでしたが、本技術を用いることにより可能となりました。また、従来技術が点での締結であったのに対し、本技術は線での締結を行います。線での締結を行うことにより、縫い線の交差する端末まで安定して均一な凹凸を実現することが可能となりました。
環境面においてはCO2排出量削減が求められる昨今、シートの軽量化は大きな命題となります。本技術は従来技術以上にウレタンフォームの薄型化を行うことができ、シートの軽量化に寄与する技術です。加えて本技術は従来工法に比べ鉄や樹脂の使用が削減できる省資源(軽量化)技術となっています。

開発者の声

生産技術部軟材生産技術課 課長荒井 真

「Glue Anchor®」は従来既存技術をベースに新たな要素をエッセンスに加えたタチエスOnly Oneのウレタンフォームとトリムカバーの締結技術です。従来工法で培ったノウハウにおいて大切にする考え方はしっかりと残し、変革させる部分は大胆に革新させ技術確立を図りました。開発段階では苦労もありましたが、無事に開発完了し、世界初の技術としてお客様にお届けすることができました。

介護・福祉に貢献する「透析運動療法用器具」

当社のグループ会社である株式会社タチエスH&Pは、高齢化社会における福祉の向上に貢献することを企業目的とし、自動車シートメーカーとしての知見を活かした介護・福祉用品事業に取り組んでいます。
このタチエスH&Pが開発検討する製品の一つに「透析運動療法用器具」があります。
透析は週3回、1回4時間程度行うことが標準的と言われています。長時間にわたる血液透析治療による患者様の体力低下、筋肉減少を回避すべく、透析運動療法の一助として本製品を使用することで透析効率の向上及び、患者様のQOL向上を実現するために製品開発に取り組みました。本製品は、弊社ベッドやテーブルに取り付けることで限られたスペースで運動を実施できるよう配慮されています。

開発者の声

タチエスH&P 技術部設計課 係長橋本 聡

透析運動療法用器具は、施設様のニーズから発想し開発を進めている製品です。昨今の診療報酬改定及び、透析患者様の平均年年齢の上昇により、運動療法の必要性がますます高まっています。本製品により患者様の透析効率向上と生命予後の改善につながる開発を進めたいと思います。今後は施設様にご協力をいただき製品の効果検証と製品改良により施設様、患者様が満足する製品提供を目指します。